2022.10.21

焼津を舞台にした映画「海の色は夢のつづき」を観に行ってきました!

~俳優・長谷川直紀さんとの出会い~

ある日、焼津駅前通り商店街にある「PLAY BALL! CAFE」に遊びに行くと、かわいらしい色合いのポストカードが置かれていました。

よく見ると海の写真で、映画「海の色は夢のつづき」の完成・公開に向けたクラウドファンディングの広報物でした。

手に取ったくらいのタイミングで、ちょうど居合わせた映画の主演俳優である長谷川直紀さんが声をかけてくださり、今回の映画のことを知ったのでした。

長谷川直紀さん(左)

写真撮影も快く応じてくださいました!

~焼津を舞台にした映画「海の色は夢のつづき」~

映画「海の色は夢のつづき」の舞台は、「焼津」。

水中写真家という夢を追い求める傍ら、明治から続く伝統のなまり節工場の後継ぎとして働く主人公が、大切な家族や家業に対する責任に悩みながらも新しい生き方を模索していく物語です。

企画したのは、2020年に焼津に移住した長谷川さんと、妻で同じく俳優の永楠あゆ美(えな あゆみ)さん。2022年7月・8月に静岡と浜松で上映されました。

浜松の上映会にて(Twitter@umiyume2022より)

~コロナ禍で生まれた、「何かしたい」という気持ち~

聞くと、長谷川さんは焼津生まれ・焼津育ち。ご実家はこれまで漁業を営んでいたそうで、数年前までは東京で俳優、焼津では漁師という2拠点生活を送られていたとのこと。

しかし、このコロナ禍で、密になりやすい俳優の仕事は完全ストップ。長谷川さんご夫婦は、焼津に拠点を移すことを決めたのだそうです。

(長谷川さん)「焼津に戻ってきて、より焼津のことを知れたという充実感はすごくあって。でも、俳優として生きてきて、その仕事ができなくなってしまったときに、『何かしたい』という気持ちもあって。そこから、『映画つくりたいね』という話をするようになったんです」

2020年暮れ 。こうしたおふたりの何気ない会話から映画づくりが動き出しました。

左から長谷川直紀さん、永楠あゆ美さん

~焼津の風景と人の温かさが詰まった映画~

映画の脚本は監督の南あさひさんと長谷川さんが共同で手がけ、「このシーンを撮るにはどういったところがいいだろう?」と場所を思い浮かべながら書かれたそうです。

※南あさひ監督は、浜松出身。コロンビア大学大学院フィルムスクールを修了し、2017年ショートショートフィルムフェスティバル&安島の脚本コンペで最優秀賞を受賞し「ブレイカーズ」を脚本・監督(本名の後藤美波名義)。長谷川さんは作品に寄り添おうとする監督の真摯な人柄に惹かれ、共同脚本と監督をオファーしたそうです。

(長谷川さん)「なまり節工場の川直さん、アヤナイさん、舟小屋さん……、お声掛けさせていただいたときも本当に温かくて。『映画をつくりたいんです』とご相談したら、『撮っていいよ』『好きにしていいよ』みたいな感じで、快くご快諾いただきました」

続いて、東京出身で結婚を機に焼津に移住されたという永楠さんに、思い入れのあるロケ地を伺ってみました。

(永楠さん)「結婚の挨拶で初めて焼津に来たときに石津浜に連れて行ってもらって。この映画をつくるときも、わたしが初めて焼津に来たときに感じたそのワクワク感を伝えたいと思って、『石津浜は絶対に撮りたい』って伝えましたね」

永楠さんとしても思い入れのある場所で、映画のヒロイン・早織役として撮影ができたことは、喜びもひとしおだろうなと思います!

永楠さんによると、映画をつくる過程で、焼津の人の温かさをより深く知るにつれ、今ではどのシーンも思い出深いとのことでした。

石津浜公園

ちなみにわたしは、なまり節屋さんの建物や伝統を感じられる雰囲気が大好きなんです。

以前、「浜通りは、昔、季節労働でいろいろな人が働きに来ていて、みんなで賄い飯を食べた」という話を聞いたことがあります。

なまり節屋さんも多くある浜通りは焼津の水産業発祥の地であり、水産業の歴史や文化が感じられ、一部に歴史的な建造物が残る地域です。

焼津の漁業・水産加工業の発展と歴史を伝える風情あるまち並みが今も残っています。

なまり節屋さんや石津浜、浜通り……。映画を観てみると、焼津の風景美がたくさんあり、本当に素敵でした。ふだん見ている景色を「映画」という媒体を通して観ることも新鮮で、焼津のよさや映画の素晴らしさを再発見しました。

特に、イントロのすーっと流れるような美しい水中映像から、懐かしさや伝統、温かな人情が感じられるようななまり節工場までのシーンは感動的でした!

主人公・洋がなまり節工場で働いているシーン
映画『海の色は夢のつづき』より|長谷川さんご提供)

~映画の製作裏話~

水中の映像は水中写真家・茂野優太さんが撮影したもの。茂野さんご自身も、銀行に就職するもダイビングの魅力が忘れられず、水中写真家に転身したそう。

主人公・洋とも、直紀さんとも通ずるものがありますね!

そして、主人公・洋の家業であるなまり節屋は、実在するなまり節屋・川直さんで撮影されました。

実は、川直の6代目・山口高宏さんは、「いずれ継ぐ」という気持ちを抱きながらも、「その前に好きなことをやろう!」と、学生時代にパプアニューギニアにダイビングガイドとしていたことがあるそう。

映画のテーマでもある「夢」「責任」が、よりリアリティに浮かび上がってくるようです(映画パンフレットで茂野さんと山口さんの対談記事を読むことができますので、ぜひ!)

映画パンフレット(Twitter@umiyume2022より)

~夢を、夢のままでおわらせない~

追い求め続けている夢、果たさなければならない責任、どちらを選ぶべきなのか?

映画の主人公が模索しています。

皆さんが、自分らしくあるために心がけていることなんでしょうか?

長谷川さんによると、「一言で言うなら、やってみること」とのこと。

夢の一歩はもしかしたら胸の奥に夢のままねむっているのかもしれません。

夢を起こして、多くの人と話してみればいつのまにか夢がかなうのかもしれません。

「あなたの夢はなんですか?」

そんな問いが映画から聞こえてきているようでした。

焼津のいい匂いのする風景が映画のフィルムの中につまっていてとても幸せでした。

素敵な時間をありがとうございました。

記念写真

◎映画「海の色は夢のつづき」公式サイト

https://umiyume.com

 

まちかどリポーター:FREEBYRD
この記事を書いた人
焼津まちかどリポーター 
FREEBYRD

横浜市出身で5歳から藤枝に移住。静岡県立大学を卒業後、営業職として勤務。幼少期からリトミック教室や合唱など音楽が好きで、学生時代から今もコピーバンドを組み、地域のイベント等で演奏している。
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