焼津は漁業が盛んな町で、水産業や食品製造・加工業を下支えしている企業が多いのも特徴です。株式会社ナカガワFMTは、その代表的存在です。
「創意工夫」をモットーに、テクノロジーで食文化に革命を起こすナカガワFMT
株式会社ナカガワFMT本社
ナカガワFMTは、かつて水産加工品の製造装置をつくっていました。現在は培った技術を幅広い食品分野に応用しています。ナカガワFMTの社名は「Food、Machinery、Technology」という言葉から成り立っています。「創意工夫」をモットーに、「食品加工マシンの製造」と「搬送・省人化マシンの製造」の事業を展開しています。
食品加工マシンには、食品の「蒸し」や「ボイル」といった調理、包装品のボイル殺菌や製品の放冷、包装品の冷水漬けや水産練製品の切断、つみれやなると、伊達巻(だてまき)の成型などがあります。ナカガワFMTは、これらのマシンの中でも、特に「蒸すマシン」に自信を持っています。市場の蒸し機と比較したとき、ナカガワFMTのマシンは熱効率が良く、しっとりと蒸すことができるため、おいしい蒸し料理が作れるそうです。この蒸し機の製造技術は協力企業と作り上げた特別なもの。蒸し料理はアジアの伝統的な調理法のひとつであり、ナカガワFMTはアジアの食文化に貢献していると言えます。
人材不足の問題が深刻化する中、食品製造工場に自動化の技術は不可欠です。そこで、搬送・省人化マシンは、整列装置、アキューム装置、ロボットなどを設備し、食品生産プロセスを自動化していくことで、生産量を維持するだけでなく、食品のおいしさを損なわず、むしろ向上させるのに役立っています。ナカガワFMTは長期的なメンテナンスにも対応しており、国内だけでなく、海外に拠点を持つ日系企業とも関わりがあります。
ナカガワFMTの工場
ユーザーのニーズに応じたオーダーメイド機械に注力
ナカガワFMTの強みは、「ユーザーが求めている機械」をオーダーメイドで設計から納品まで行うことです。ニーズを深く理解するには、お客さまの現状のレシピ、工程、問題点をよくヒアリングして話し合うプロセスが重要。ナカガワFMTが培ってきた技術を土台に、お客さまの課題に最適な機械を考え、提案しています。
ナカガワFMTの仕事は、「考えること」からスタートします。営業課の中川雄斗さんによると、お客さまの要望を具体的な形にするための「考える仕事」は、機械製造の工程の80%を占めると言います。機械設計・製造方法を考えるのはもちろんですが、お客さまと同じように深く考えることが独創的なマシンの設計につながります。様々なアイデアが盛り込まれた設計図を具現化し、機械を完成させるだけでなく、ユーザーが実際に使ってみて生じたあらゆる問題や要求に、迅速かつ的確に対処していきます。こうした経験から得たノウハウが、次の機械づくりにも活かされていくのです。
ものづくり、マシンづくりが好きな社員が集まり、チームワークで成長していく
若手社員である天野さんにインタビューしました。22歳で入社2年目の天野さんは、主に配線工事と機械を動かすためのソフト開発を担当しています。
天野さん
もともと、ものづくりが好きで技術系の専門学校に通っていた天野さんは、自分のスキルを活かしたいと考えてナカガワFMTに入社しました。「最初は配線工事がうまくできなかったのですが、先輩のアドバイスを聞いたり、自分でしっかり理解して考える習慣をつけたりしたことで、徐々に上達していきました。自分が難しいと感じていた仕事ができるようになったとには、成長を実感しました。」と天野さん。県外のお客さまに出向いて配線工事を担当したときには、視野が広がり、責任感も強くなったそうです。
また、天野さんは「オーダーメイドの機械づくりには、チームワークが重要。チームで協力しながらコミュニケーションをしっかりとることで、クリエイティブな発想が生まれる。これがお客さまの課題解決にもつながっている」と語ってくれました。さらに、「周りの先輩が優しく、自分の問いや悩みがいつでも相談できる職場でもある」と天野さん。ナカガワFMTは、お客さまにも社員にも大切な存在となっているようです。
担当者からのメッセージ
今回、会社を案内してくださったのは、営業課の中川雄斗さんです。中川さんは、東京に進学して就職した後、焼津にUターンして家族が経営するナカガワFMTで営業担当として働き始めました。「ナカガワFMTは”Machinery”と”Technology”によって、食文化への貢献を目指している。これからも進化し続けていきたい。だから、”ものづくり”と”考えること”が好きな仲間を歓迎している。チャレンジ精神旺盛の方がいらっしゃったら、ぜひ、チームに加入していただけるとうれしい。」と中川さん。魚がおいしい焼津を代表する企業ナカガワFMTで、成長しながら地元産業や食文化に貢献したい人におすすめの企業です。
中川さん(向かって左)と天野さん(右)
取材を終えて
ナカガワFMTは今回の取材で初めて知りました。世界的にも高い技術(蒸機)があり、それが主にアジアの「蒸す」食文化を支えていることや、日本国内だけでなく海外の企業に関わっていることを知り、ベトナム出身の私としては興味が深まりました。また、機械を作る企業は文系の私には遠い存在だと思っていましたが、食に関係している企業で、明るく勉強意欲が高い方が多く、成長できる職場だとわかり、親しみやすさを感じました。ものづくり、機械づくりに興味がある方はもちろん、食品にも興味がある方はぜひ見学してみてください。
株式会社ナカガワFMT 公式サイト:http://www.nakagawa-fmt.jp/index.html

焼津まちかどリポーター
スイートピー
ベトナム出身。大学入学を機に静岡へ。焼津の会社に就職したことをきっかけに、焼津の文化・価値を発見して、多くの人に伝えていきたいという思いがより強く。趣味は写真を撮ること。
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