2017.12.06

焼津から全国に。魚の美味しさを伝える仕事

冷蔵倉庫業
山松水産株式会社

塩坂 拓也さん

Iターン
20代
静岡県静岡市清水区興津
= Profile =
1992年生まれ。静岡県静岡市清水区興津出身。海や海の生き物が好きだったことから、大学は山口県にある水産大学校に進学。その後も、マグロやカツオなどの加工や販売を行う山松水産株式会社に入社。現在は休日も釣りにでかけたり、魚を味わったり、まさに海と魚尽くしの毎日。

海の生き物が大好きだった

 僕は小さい頃から海の生き物が大好きで、大学も山口県にある水産大学校というところで、海の生き物たちがどういったものを食べているのかといった、食性を研究していました。僕は興津出身なんですけど、小さい頃から清水区三保にある東海大学海洋学部の水族館によく連れて行ってもらいました。海や、海の生き物に興味をもつようになったのは、それがきっかけですね。

 水産大学校には1~2週間ほどの船実習があります。「トローリング」といって、網を引いて魚を捕ったり、なかなか他大学にはない特徴です。研究もすごく楽しくて、僕は鹿児島の砂浜に棲む生物が研究対象だったんですけど、砂浜ってなにもないように見えても、オキアミのようなプランクトンだったり、砂浜由来のアリやハエが生息していたり。地上の虫も風に飛ばさてきているんです。研究が楽しすぎて、就職活動の時間も惜しいと思ったくらいです。

 山松水産を知ったきっかけは、親の紹介です。親の知り合いで山松水産をよく知っている人が「焼津にいい会社があるよ」と教えてくれたんです。その人の業種は、水産関係とは全く関係のない業種です。そういう異なる業界の人がおすすめしてくれるというのはすごいな、と思いました。

じっくり魚を知って、海と魚ののスペシャリストに

 山松水産はマグロやカツオなどの加工や販売を行っています。営業部・加工部・冷蔵庫(営業部業務課)があって、僕は営業部に所属しています。魚の入札から水揚げの立ち会い、そして販売が主な仕事です。特徴としてはマイナス60℃の超低温冷蔵庫があるんですが、営業も出荷の準備などに向かうことがあります。そうすると、どの県に何がどのくらい出荷されているかわかって、営業としても知識になります。

 入社して最初の1年はじっくり研修。半年は加工部の仕事を、もう半年は冷蔵倉庫事業の仕事をして、営業のベースをつくりました。2年目は営業補佐をしながら、営業の研修。本格的にお客様のもとに訪問しはじめたのは3年目になってからでした。でも、一番最初に新規のお客様を訪れたときは緊張しましたね。
 初めてのお客様は山口県の宇部魚市場さん。朝の競りを見させていただきながら、どのような商品を扱っているのかを教えていただいて、その上で具体的な提案書を作成。そのとき、僕が提案したのはキハダの四つ割・整形。皮を向いて、血合や骨を取り除いた形です。先方にも気に入っていただけて、今も続いています。一番最初のお客さんが今も続いているというのは嬉しいです。

塩坂 拓也さんが働く会社について

製造業
山松水産株式会社 
昭和44年創業 魚の街 焼津で築き上げられた信頼と実績 「お客様に安心できる本当のおいしさをお届けしたい」日本有数の水揚基地である焼津の地より、全国の市場や量販店、飲食店などに厳選した天然鮪・鰹をお届けしています。

魚好きにはたまらない焼津の暮らし

 今は西焼津に住んでいますが、もともと海があるところで暮らしたいなと思っていたので、うれしいです。何より美味しい魚が食べられます。子どもの頃からマグロが好物なんですが、焼津に来て初めてミナミマグロを食べたときは、「今まで食べたなかで一番美味しい!」と感じました。生産者が近くにいるからこそ、安くて質のいい、ここでしか食べられないものがあると感じます。

 提供する側になった今は、「安心・安全で質のいいものを伝えていきたい」と一層思うようになりました。「魚を見れるようになる」というのは、自分にとっても目標です。魚ってどこまでも勉強になるんですよ。一本一本、しっぽを切って、水で濡らして鮮度を見る。出刃の刺さり具合で脂のノリ具合を見る。何年もかけて磨いていくものです。仕入れの道40年の先輩みたいに、魚の目利きになれたらかっこいいなと思います。

 そう考えると、魚尽くしの毎日ですね。大学時代もそうでしたし、今も休日は妻や会社の人と釣りをしていたり、焼津さかなセンターのお店をまわってみたり。釣りは、会社近くの管理釣り場やふぃしゅーなに行くこともありますが、箱根の芦ノ湖に行くこともありますね。魚好きにはもってこいの場所ですね。

塩坂 拓也さんがオススメする焼津のイイトコ

「蔵」
新婚ほやほやの塩坂さんが奥様と一緒に出かけるというのが、中華そば専門の「蔵」。キムチの入ったラーメンが特におすすめなのだそうです。「こっちに来て5キロ太ったんですが、その要因の一つですね。そのくらい美味しいです」と塩坂さん。(毎週月曜夜定休)
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