福一漁業株式会社は、江戸時代より漁業を営んできた老舗中の老舗です。平成5年に焼津市藤守へ大井川冷凍工場を竣工、27年には福一・西島コールドストレージの操業が開始されました。
海を生業の地とし、その軸をぶれさせることなく多彩な事業展開を行ってきた企業。「果たして若者にも働きやすい職場なのか?」「実際に働くとなるとどんなお仕事ができるのか?」など、気になる疑問を伺ってみました。
マグロ・カツオの冷凍に特化した工場
福一漁業の持つふたつの冷凍工場のうち、福一・西島コールドストレージでは焼津名産のマグロとカツオが扱われています。-40℃や-60℃に設定された超低温の冷凍庫のなかで、約6,400トンもの魚が新鮮なまま保存されているこちらの工場。
荷物の保管を行う冷蔵部をはじめとして、原料を集めたり全国への販売を行ったりする営業部、スーパーに並ぶような短冊形やマグロをねぎとろに加工する加工部など様々なお仕事がなされています。

2、30キロにも及ぶ立派な魚を運ぶとなるとかなりの体力がいりそうですが、コツを掴んでしまえば力に自身のない方でも持てるようになるとのこと。
ただし冷凍工場は業者間の取引が主となるため、「福一漁業」の名前で物を売ることはあまりありません。その代わり、どこに出しても誇れるような魚を、国内に限らず世界にめがけて届けているとのこと。誇らしい挑戦であり、大きなやりがいにも繋がる部分だと思いました。
やりたいことをやらせてもらえる直販部
福一漁業の事業のなかでも、直売部門にあたるお仕事をしている福一焼津流通センター。ここでは、お寿司やマグロの加工、商品の販売を行う営業、仕入れなどが行われています。およそ1万種の魚介類が一堂に会し、焼津のマグロやカツオ、その他全国の鮮魚を求めるお客さんたちで賑わう場所です。

新卒採用によって若返りが進む職場は、気遣いや嫌な緊張のないあたたかな雰囲気。取材中とくに印象的だったのが、まだ入ったばかりの新入社員の「とにかく鮮魚が好きで携わりたい」という想いに応え、すでに市場で買い付けの経験を積ませているというお話。
通常、入ってすぐに現場で買い付けや見学することは難しいでしょう。しかし、店長の岡田さん自身が入社当初に好きなことをやらせてもらった経験から、現在も新人を頭から押さえつけるような方針は取っていません。「やりたくないことはやらなくていい」と言い切る姿勢は、目的を持って入社してきた方々にとって心強いものだと感じました。
目的を持った人が輝ける職場
漁労から末端に届けるところまで、一切を自らで行う福一漁業。働き方も様々なうえ、「魚が好きで関わりたい」「売り場でお客さんと関わりたい」など、やりたいことをやらせてもらえる職場のため、一人ひとりの目的に向かって仕事ができます。
「楽しそうに市場へ行き、気に入って持って帰ってきた鮮度の良い魚を卸し、それが売れたりすると嬉しそう」。そう新しい社員の活躍ぶりを話す際の表情の穏やかさは、福一漁業で働いてみたいと思えるほど優しく、頼りがいのあるものでした。